胃相による分泌

食べ物による機械的刺激や、たん白質、ペプトン、アミノ酸などによる科学的刺激により

幽門腺からガストリンの分泌を促し、ガストリンは血中に分泌され、

このホルモンが胃底腺に到達して胃液の分泌を刺激する。
胃に入った食塊の物理的・化学的刺激によって、反射的に胃液分液が起こる。

また、胃壁の伸展や食物のある成分などが、幽門部粘膜のガストリン分泌細胞(G細胞)を

刺激し、消化管ホルモンのガストリンが血中に分泌され、胃液の分泌を促進する。

 

この時期を胃相といい、塩酸に富む大量の胃液分泌が3~4時間続く。

このとき同時に胃運動は促進される。胃酸分泌が促進されて、

胃内容のpHが2以下になると、自動的にガストリンの分泌が抑えられ、

胃液分泌と運動の抑制が起こる。
適度のアルコールやコーヒー、カラシ・コショウなどの刺激性調味料は、

胃粘膜を刺激して胃液の分泌や運動を促進し、逆に、脂肪やたばこは抑制する。

 

また、ヒスタミンは、胃腺の旁細胞を刺激して胃酸を分泌させる強力な塩酸分泌促進物質

である。

旁細胞への刺激をキャッチする元栓側にあるヒスタミンの受容体(H2受容体)をブロックして、

ヒスタミンの刺激を奪細胞に伝わらなくする薬剤(H2受容体括抗剤)が潰瘍の治療に効果を

あげている。

 

また、最近、旁細胞の蛇口側(細胞の胃内腔への分泌側)にある、

最終酸輸送システムのプロトンボンプ(アシッドポンプ)を担当する酵素の働きを阻害して、

酸の分泌を確実に持続的に抑制するプロトンポンプ阻害剤(PPI)が開発された。

 

 

腸相による分泌

胃で消化された食物が十二指腸に流入すると十二指腸粘膜に接触して

セクレチン・パンクレオザイミンなどの消化管ホルモンの放出が刺激となり、

膵液の分泌を促す。

(パンクレオザイミンは胆のう収縮も行う)とともに幽門腺のガストリン分泌を抑制する。
食塊が十二指腸に入ると、物理的な刺激とたん白消化分解産物の化学的な刺激によって、

小腸ガストリンが分泌され、胃液の分泌と運動を促進する。
一方、酸性物質・脂肪・糖質などが十二指腸壁にふれると、

セクレチンや胃抑制ペプチド(GIP)などのホルモンが分泌され、

ガストリンや胃液の分泌ならびに胃運動を抑制する。

 

 

腸相ではこの抑制作用が強く働く。
胃液の分泌は、脳相と胃相がそれぞれ45%、

残りの10%が腸相によるものと考えられている。

 

胃壁の運動

・胃壁の運動は噴門から幽門に向かうリズミカルな収縮であり、

蠕動運動と呼ばれる。胃液分泌の場合と同様に副交感神経で促進され、

交感神経により抑制される。

 

・胃・十二指腸の運動や分泌の異常は、種々の病変を惹起し、

また、神経系と密接な相互作用を持つことから病変の存在が

運動・分泌の更なる異常を引き起こすと思われる。

 

有害物質の体内侵入の防御

・胃は細菌を胃酸により殺菌したり、有害物質をいったん蓄え

嘔吐によって排除させたりして、生体にとって有害な物質の体内への

侵入を防ぐという重要な役割も果たしている。

胃酸過多でも起こるのが胃潰瘍(消化性潰瘍)