2)急性症状による苦痛の緩和

①発熱
 高い発熱は身体の消耗、脳への障害となる。そのため、熱のある患者に対しては、冷罨法という方法を用いて解熱をはかる。一刻も早い解熱は患者の苦痛を緩和するだけではなく、身体の消耗を防ぎ、かつ二次的な障害をも予防する。患者の身体の主要な部分に氷枕・氷嚢をあてるだけでなく、患者の身体の下にウォーターマットを敷くこともある。定期的にもしくは必要と判断したときに、患者の体温を測定し、1日の熱の型や熱が出るときの随伴症状を観察し、報告・対処することも大切な援助となる。

②疼痛
 急性期の患者が痛みを訴えることは多い。しかし、痛みはさまざまな原因でおこり、痛みの部位、種類、程度、おこり方もさまざまである。痛みに関しては体温のように測定すうる器具もなく、訴えや表情などの患者の行動からしか判断できないので、患者をよく観察する必要がある。
 痛みを訴える患者に対しては、鎮痛薬や精神安定剤が処方されることが多いが、看護師の援助は痛みの原因によっても異なる。急性の炎症による痛みの部位をあたためることは(温罨法・温湿布)は炎症を悪化させることになる。だからといって、すべての痛みには冷やすこと(冷罨法・冷湿布)が効果的とはいえない。
 たいていのいたみにはその部位のマッサージが効果的ではあるが、逆に悪化させる場合もある。疾患や痛みの程度によって、温罨法・温湿布・冷罨法・冷湿布・マッサージ、痛みのある部位の緊張を取り除く体位の工夫などを選択して援助しなければならない。
 しかし、痛みの訴え・程度に関しては患者の心理が関与することがわかっている。突然の病気・入院、自分の将来などの不安が痛みを増強し、増強した痛みがまた不安を大きくする。この悪循環に対しては、薬を頻用することよりも、家族・医師・看護師などが患者のそばにいて、患者を静かに見守ること、患者の訴えを十分に聞くこと、患者の病状をわかりやすく説明すること、痛みの部位を静かにマッサージするなどの援助が効果的であることが多い。
 老人の痛みに関しては十分注意して対処しなければならない。老人の感覚機能には減退や喪失があり、痛みの閾値が高くなっていることが証明されている。つまり、私たちが感じる程度の痛みを同じ程度に感じられないことが多い。痛みは身体の異常を知らせるサインの1つであるから、老人患者の痛みに対しては、軽度であっても発見がおくれ、手おくれにならないように観察をよりきめ細かにする必要がある。

③呼吸障害
 急性期の患者は呼吸の苦しさを訴えることも多い。呼吸困難は患者および家族に死への恐怖を抱かせる。衣服の調整や医師の指示のもとに酸素吸入を行う。人工呼吸器を用いることもある。その際、不安の軽減につとめ、呼吸器の管理や呼吸状態を観察する。

④循環障害
 循環障害は組織や臓器への酸素・栄養供給を障害させて機能を低下させる。そのため、まず原因の除去が行われる。それによって身体的・精神的苦痛を緩和することができ、患者は心臓の予備力の範囲内で社会生活を送る。
⑤嘔吐
 嘔吐も急性期の患者に多くみられる症状であるが、吐物の内容によって診断の目安がつくこともある。嘔吐は胃腸などの消化器系の疾患だけではなく、脳出血などの消化器系以外の疾患にもおこる症状であるから、その点にも留意する必要がある。吐物の内容を観察すること、吐物をすばやくかたづけること、冷たい水で患者にうがいをさせ清涼感をあたえること、背中をさすり安心感を与えることなどが必要となる。
 また、嘔吐は気道の閉塞や、栄養・水分の摂取を妨げるため、意識のない患者の嘔吐には十分に注意し、吸引などですばやく対処し気道確保しなければならない。意識のない患者は吐物によって気道がふさがれ、窒息する危険が高い状態にある。