3)治療、検査、処置に伴う不安・苦痛への緩和
 急性期の患者は、まず苦痛の緩和を望んでいる。なぜなら、それらの症状(苦痛)があることによって食事・睡眠・休息など、人間にとって最も基本的な生理的ニーズの充足が阻害され、さらに安全のニーズが阻害されるからである。急性疾患はとくに症状が強く、それゆえに患者は症状の緩和を望んでいるといえる。しかしながら、適切な診断、治療をするために各種の診断が行われたり、治療のため安静が強いられたり、食事が制限されたりする。それによって苦痛が増強することもあるので、患者によく説明をして不安を与えないようにする。
 

①検査時の援助
 急性期の患者にはさまざまな検査が実施される。患者は検査が安全にかつ苦痛が少なく行われることを望んでいる。検査には事前の処置や事後の注意が必要であることが多い。たとえば、前日の夜から水分や食物の摂取が禁止されたり、検査部位の剃毛、浣腸や注射がされたり、検査後身体を動かすことが禁止されたりする。これらのことがらは、すべて検査が安全に行われ、正確なデータを得るために必要なことなのである。このように、検査のなかには患者の協力が得られないと危険なこともあるので、十分説明を行い、不安を与えないようにする。また、検査中や検査後、急に呼吸や血圧などに変化をきたし、状態が悪化することもあるので注意する。
 急性期の重症患者の検査には細心の注意が必要である。ストレチャーで移送する際、検査中や検査後、急に呼吸や血圧などの状態が悪化することがあり、とくに老人患者には注意を要する。また、重症患者にはさまざまな医療機材が取りつけられており、検査に際し、それらが抜けたり、折れたり、ずれたりしないように管理することも援助となる。

②安静時の援助
 安静療法は急性疾患の治療基本であるため、安静という活動制限が指示された患者は洗面・食事・排泄・清拭など、日常生活のすべてを看護師に依存せざるをえないが、最も苦痛を感じるのは排泄の援助を受けるときであろう。排泄はだれしもが自力で行いたい行為の1つである。また、トイレでなく、病室で排泄するということにも抵抗を感じる。なかには排泄の回数を少なくするために、水分を控える患者もいる。看護師はそのような患者の心理を十分にくみとって援助する必要がある。
 高齢者の場合は、突然の病気・入院、そして安静ということがきっかけとなり、ぼけが生じたり、病気はなおっても筋肉が弱り関節の運動が制限されて(拘縮)、歩けなくなったり、寝たきりになったりする可能性が高い。ぼけを防止する援助や、筋肉・関節の機能を維持する援助が必要となる。
 すなわち、老人患者とのかかわりを多くすること、家族に説明をし面会を多くしてもらうなどの協力を求めることが精神面に対する重要な援助となる。また、身体の向き時間ごとにかえる、身体の位置を正しく保つなどの援助が重要となる。救命の時期が過ぎたら、患者の手足を少しずつ動かすなどのリハビリテーションを開始すること廃用症候群を防ぎ、その後の患者の身体機能・日常生活動作に大きく影響する。
 小児の場合、活動量の多い子どもにとっては、活動そのものが成長に大きな意味をもつ。安静は苦痛であり、また成長・発達にも影響を及ぼす。病室というかぎられた環境で少しでも苦痛が軽減でき、かつ子どもの成長・発達がはかられるような遊びを提供することも援助の1つとなる。