●肝生検により明らかになる疾患と病態●

肝生検で診断できる疾患には急性肝炎、慢性肝炎、腫瘍性病変があるが、最も診断威力を発揮する疾患は慢性肝炎(表3)であり、各種慢性肝炎の鑑別、進行度、進行速度の診断ができる。肝生検標本は採取後ホルマリン固定され、薄切後HE染色され検査されることが多いが、繊維・鉄・銅などの染色も広く行われている。ウイルス蛋白や腫瘍マーカーの染色も必要に応じて行われることが多い。検体採取後凍結され、ウイルスの遺伝子や代謝酵素に関して調べられることもある。また、電子顕微鏡で構造の変化なども観察される。

1)急性肝炎
急性肝炎では、肝細胞の障害壊死・網内系過形成・炎症細胞浸潤・再生像・線維化がない、などがみられる。壊死・炎症・再生は全小葉に一様に分布している。

2)慢性肝疾患(慢性肝炎・肝硬変)
慢性肝疾患には、ウイルス性慢性肝疾患・アルコール性肝疾患・原発性胆汁性肝硬変・自己免疫性肝炎・原発性硬化性胆管炎・脂肪肝・薬剤性肝障害・代謝異常による肝障害・寄生虫による肝障害などがある。

①ウイルス性慢性肝疾患
B型・C型慢性肝炎が主な対象である。表4にHE染色による診断基準(新犬山分類)を示した。この診断基準ではstaging (どこまで肝臓の線維化が進行しているか、つまり病気がどこまで進行しているか)とgrading(肝臓の中での炎症の強さ、つまり病気の進行速度はどうか)に大別され、stagingやgradingの点数が高いほど肝硬変へ進行しやすく、治療が奏効するとgradingの点数が減る。またstagingの点数が高いほど発癌の可能性も高くなる。肝硬変でも炎症の強いものと弱いものとに分類される。この他にも肝生検ではウイルス関連蛋白の染色や肝内ウイルス量の測定が可能で、ウイルスの活動性や抗ウイルス薬の治療効果判定に使われる場合もある。

②アルコール性肝疾患
脂肪変性・肝細胞周囲の線維化・アルコール硝子体などが主な所見で、災症がみられることもある。

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