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●検査後の合併症●
表7に示すように合併症にはさまざまなものがあるが、最も注意しなければならない合併症は検査後の大量出血と胆汁性腹膜炎である。
肝硬変など出血傾向に傾きやすい患者に太い針を刺す検査なので、頻度は低いものの合併症を完全に避けることはできない。合併症に対する対応で最も大切なことは早期発見である。そのためには頻回にベッドサイド訪問を行い、患者の状態(顔色、呼吸、体位、皮膚色、冷汗など)を観察し、患者の訴え(腹痛、胸痛、息苦しさ、吐き気、咳など)を聞くことと、定期的にバイタルサインを測定することである。

1)合併症の予防
合併症の予防には①穿刺前の刺入方向決定②穿刺操作中の呼気時での呼吸停止③穿刺針の太さ④検査前検査で術後合併症高リスク患者の除外が大切である。穿刺する前にエコー検査にて、刺入経路上に血管系・胆管系がない方向と刺入部位を十分な時間をかけて決める必要がある。また肝臓を浅く刺した状態で呼吸運動が起こると肝臓を大きく切り裂くことになり非常に危険である。穿刺針は細いほど合併症が起こりにくく、穿刺操作は短時間に終了するほどトラブルが起こりにくい。

2)主な合併症とその臨床症状
肝生検を必要とする患者の多くは、肝硬変によって門脈圧が亢進していて肝臓から出血しやすい傾向がある上に、血小板減少や肝機能障害による凝固能異常で止血し難いため検査後の大量出血が起こりやすい。

検査後の大量出血には穿刺肝臓表面から腹腔内へ出る腹腔内出血、血管と胆管が串刺しされて胆管内へ出血する胆道出血、肝臓の皮膜下に血液がたまる皮膜下血腫がある。大量出血例では出血性ショック症状として脈拍が上昇し、血圧が低下する。

一般に脈拍が100/minを超えて血圧が20mmHg以上低下した場合は、出血の可能性を考慮して担当医師に連絡をとり、輸液速度を上げるとか輸血手配を開始するなどの予防処置を始める。

腹腔内出血では軽度の腹痛や腹膜刺激症状があり、超音波検査で腹控内に液体貯留像がみられる。胆道出血の場合は消化管内出血となるので腹膜刺激症状がなく、循環系の異常(バイタルサインの変化)で初発するので早期発見が遅れることもある。

胆汁性腹膜炎は穿刺針が胆管を貫いた場合に起こり、症状が穿刺直後にはそれほど強くなく、夕方頃からかなり強い腹痛が出現して著明な腹膜刺激症状(筋性防御、反跳痛など)がみられる。

バイタルサインは疼痛のために脈拍、血圧ともに亢進する傾向にある。腹腔超音波検査では液体貯留像がみられる。

血胸・気胸・血気胸では胸痛、咳、呼吸困雌があり、右呼吸音が減弱する。胸腔内出血が持続し胸腔内圧が著しく高くなると呼吸困難が亢進してチアノーゼを呈することもある。胸部レントゲン写真で液体貯留または気体貯留がみられる。

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